炭水化物子のありふれた世界

インドでのありふれた日々を発信しています。ツイッター→@tansuikabutsuk0

結婚式と結婚手続きの話

結婚式について、私の気分を一言で表すと「虚無」です。

 

  • 結婚式

私には、結婚式はできればやりたくない。もしやるのであれば、呼ぶのは二親等までで小ぢんまりと、ハートウォーミングな感じで、寺とかでやりたい。そして、結婚式には金を使いたくない、というこだわりがありました。他人の結婚式に出席するのは大好きなのですが、自分のこととなると結婚式なんかに使う金があるなら趣味か寄付に使いたいと思っています。

結婚が決まり、めんどくさくないらしいと噂のヒンドゥー教婚の手続き(後述)をするため、ヒンドゥー式の結婚式をやらなければならないという結論に至りました。秘宝にはおばあちゃんがいて、秘宝実家と同じマンションに住んでおり、車椅子で移動が難しいため、おばあちゃんが来やすいように、そして、式場代をケチるため、なんと秘宝実家マンションの集会所で結婚式をやることになりました。ここまでは良かったのですが、「招待客最低100人のところを20人に頑張って抑えた」という報告を受けました。私は二親等までというこだわりがあったので、はぁ????となり、かなり長い時間交渉しましたが、これ以上減らすのはおばあちゃん的に勘当レベルなので絶対に無理ということでした。そもそも、なぜ私と秘宝の結婚式なのに、おばあちゃんが招待客への決定権を握っているのか、そして私にはないのか、納得がいきませんでした。遂に秘宝に話が通じなくなったか?と不安になりましたが、どういう事かというと、ここはインドなので、(少なくとも秘宝一族にとっては)結婚式は結婚する当人のものではないという真実が判明しました。そもそも本来は親が結婚を決めるため、「私が手配した結婚の、私が手配したセレモニーにようこそ!!」というロジックで、招待状も基本的には当人でなく親が出すそうです。結婚の報告も、例えばこの関係の叔母さんにはこのおばあちゃんが最初に言う、とかいったルールがあるそうです(本人から言ってはいけない)。インド人と結婚したパイセンに相談したところ、「インド人は来世に賭けているため、唯一の楽しみであり、かつ来世に向けたカルマ徳積みチャンスである子供や孫の結婚式を諦めるわけがない。この結婚式はおばあちゃんの最後の走馬灯のクライマックスになる。ここはインドやぞ」というありがたいアドバイスを頂き、非常に納得がいったため、全てのこだわりを捨てて(マンゴー農園を脳裏にチラつかせながら)虚無に至りました。

ちなみに、私側の招待客は何があっても許してくれそうな2名、壮絶子ともう一人の友達のみです。私の両親はインド渡航がハードル高すぎるため来ません。結婚式の手配も支払いも全て秘宝一族がするので、もうそもそも結婚式がどんなんかもわからんし、人を呼ぶのは恐れ多く、かつ悟っているので把握しようとも思っていません。私の仕事は、当日着る服(インド服以外は不可)を買うこと、当日時間通りに起床して出席すること、虚無の心を保って当日のすべてを受け入れることのみです。

 

  • インドの結婚手続き

インドでは、国籍でなく宗教で結婚を定める法律が分かれています。ヒンドゥームスリム、クリスチャンそれぞれ別の法律があり、手続きがそれぞれ定められていて通称「宗教婚/Religious Marriage/〇〇教婚」等と呼ばれています。基本的にはそれぞれの宗教で必要な結婚の儀式を行い、必要書類を提出すれば完了するそうです。異教徒同士が結婚する場合は”Special Marriage Act”という法律が用意されていて、結婚式は必要ありませんが、裁判所での手続きが必要となります。この手続きは「裁判所婚/Court Marriage」等と呼ばれているようです。

詳しくは、Mika Nakamuraさんという方がヒンドゥー教婚で手続きを行われたそうで、かなり分かりやすく解説がされているので興味のある方はこちらをご覧ください。

https://tanakkei.com/religion/hindu-marriage-act

 

  • 結婚の手続きについての顛末

あまり何も考えず、「ヒンドゥー教婚は裁判所婚より簡単らしい」という他人から聞いた話だけで、「ヒンドゥー教婚にしよ、とりあえず結婚証明書を取得するために結婚式をしないと」と決めました。インドの役所の手続きにてこずることだけは分かっていたので、秘宝には出来る限りの下調べをしておくように頼んでいました。そして、秘宝は、なんと私がインドに帰る2週間前に、「まとめサイト3つ見たから大丈夫」という信じられない発言をしました。秘宝は一通り私の怒りを買った後、役所、ヒンドゥー教婚式の司祭を派遣する団体、弁護士に問い合わせ、その結果「全員違う事を言っているがとりあえず弁護士に裁判所婚の手続きを頼むのが一番ちゃんと完了できそう」という結論に至り、裁判所婚で手続きすることになりました。つまり、真実は結婚式はやらなくてよかったということです。

いずれにせよ、一族の手前、結婚式をすること自体は避けられなかったと思われますので、虚無の心を保っています。